「家紋」とはそもそも何なのか。着物以外ではどんなところに?
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これまでの記事の中で、「礼装の着物には家紋が付いている」とか
紋付羽織袴の家紋の数は基本的に5個ありますよ、とか
当たり前のように家紋というものを登場させていましたが、
そもそも、家紋ってなによ?
ということで、今回は家紋についての話です。
概要
家の紋章
家紋は読んで字のごとく家の紋章、
つまりどこの家の所属であるかを表すために使われたものとされています。
発生はもう1000年も前、平安時代頃の話。
同じ氏族(藤原氏とかね)が権力を掌握するようになると、
名字だけでお互いの出自が区別できなくなっていたので、
家ごとの紋章を作って区別するようになったのが始まりみたいですよ。
武士の旗印に
その後武士が台頭してくると、合戦の際の旗印として家紋が広まっていきます。
家を識別するだけでなく、有力武将の家紋がステータスになっていったのも武士の時代ですね。
だからこそ家紋(紋所)の入った印籠を取り出せばみんなひれ伏すわけです。w
そして現代
そんな「家」を表す家紋ですが、現代にもしっかりと受け継がれています。
紋付の着物以外には、仏壇や墓石、
また昔ながらの家では屋根の上の鬼瓦に家紋を入れることがあります。
意識してなかったなぁ、という人は実家に帰った時にでも
仏壇や墓石をよく見てみてください。どこかに見つかると思います。
家紋を入れるのは個人ではなく「家」として象徴的なところ、重要なところというのが
いかにも日本的な特徴に思えますね。
自分の家の家紋は……?
自分の家の家紋を知っている人は、もしかしたら少数派かもしれません。
印鑑みたいに届け出るものでもないですし、
手続きで家紋が求められることもないですからね。
樫田家の家紋はこちら、丸に剣方喰といいます。
家紋にもメジャーなものから激レアなものまであり、
丸に剣方喰は結構メジャーな部類です。割と気に入っている。
「十大家紋」というくらいなので、10位以内に入っているんだと思います。
海外にも家の紋章はありますが、家単位ではなく個人で少しずつ違ったりするんだそうですよ。
それに海外のものは凝った意匠が多いですが、日本の家紋は単色でアイコン的です。
家紋を図鑑のようにした「家紋帳」を見ていると、
シンプルながらもたくさんの種類があって見飽きません。
現在、確認されているだけでも20000種類もの家紋が日本にあるそうです。
同じモチーフのものでもたくさんのバリエーションがあるので、見ていて楽しいですね。
代表的な家紋
家紋について意識したことがなくても、いくつかは何となく見たことがあるはず。
丸に三つ葉葵
葵の紋と言えば徳川家ですね。時代劇で見ない方が稀なくらい。
五七の桐
こちらは豊臣家の家紋。
丸に違い鷹の羽
レンタルの紋付袴にデフォルトで入っていることが多い家紋。
もとは幅広く武士が用いていた家紋だそうです。
三つ巴
勾玉(まがたま)が意匠になっているとも、雷が意匠になっているとも言われる家紋。
神社の家紋(神紋)として多く見る機会があります。
菊紋
菊紋といえば天皇家のイメージですが、皇室の紋として採用されているのは
16枚の花弁の間にも更に花弁がある「十六葉八重表菊」です。
他にも紹介しきれないほどたくさんあります。
戦国武将グッズなどでも家紋があしらわれたものが多いですね。
家紋「柄」
ネットを検索してみると、一つの家紋をあしらったものの他に、
パターン柄の意匠として家紋を並べているものも結構見つけられます。
某高級ブランドみたいで結構カッコイイんですよね。
というか、例のブランドは日本の家紋に触発されてあの「モノグラム」をデザインしたと聞いたことが。
つい、自分の家の家紋があるか探しちゃうんですよね。
家紋は「大切なもの」に入っている
家紋の入っている着物(紋付)が礼装であるように、
「大切なもの」に付けるのが家紋です。
紋付を着る機会があっても「家を背負っている」
みたいなことを考える人はあまりいないかも知れませんが、
家紋から家族、ひいてはご先祖様に思いを馳せてみるのも
良いかも知れません。
それでは皆様、よい着物生活を!
かしまさでした。
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