【着物男子のアイテム解説 Vol.2】襦袢
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着物のアイテムをひとつずつ紹介していくシリーズの第2回、
今回は「襦袢」について説明していきます。
何が必要なのかはこちらの記事にまとめておきました!
また、「着物男子のアイテム解説」のタグから、
個別のアイテム紹介の過去記事一覧を読むことが出来ます。
下着専用の着物
さて、襦袢(じゅばん)です。
着物の用語ですが、ポルトガル語由来なんだそうです。
ということは、ポルトガル人が上陸するまでは何と呼んでいたんでしょうね……?
それはさておき。
襦袢は長着と同じような形をしていて、下に重ねて着るものです。
下着専用の長着、と説明すると分かりやすいですかね。
もしくは、ギターに対してのベース? まそんな感じです。
上に長着を重ねるので殆どの部分は隠れて見えませんが、
喉元のあたりから「半衿(はんえり)」が少し見えるように着ます。

長襦袢はほとんど長着
長着と同じように、襦袢にも長襦袢(ながじゅばん)と半襦袢(はんじゅばん)があります。
長襦袢は、長い襦袢。そのままですね。
ほとんど長着や浴衣と同じにも見えます。でも、重ね着したときに
下からはみ出ないように小さめになっています。
実際、長襦袢の代わりに浴衣を着る方法もあるらしい。下馬(したうま)って言うんだってさ。
衿の形が着物と同じ「関西仕立て」と、羽織と同じ「関東仕立て」があります。
が、そこまで着心地が変わるわけでもないのでそんなに気にしなくて良いかと。
柄がいろいろ
上に着物を着れば隠れてしまうものの、
長襦袢には虎や鷹など、背中にかっこいい絵が描いてあるものもあります。
そういった「大きく絵が描いてある柄」のことを絵羽柄(えばがら)、
絵羽柄の長襦袢を絵羽長襦袢と呼ぶこともあります。
描いてある絵は山水画のようなもの、鷲や鷹や虎などのカッコイイ動物などが多いです。
キワドいところだと「春画長襦袢」という素敵なものもあります。
画像は出せないのでご自分で探してみて下さい(笑)


長襦袢の柄に凝るのも楽しみ方のひとつなので、
絵羽の生地だけで(だけで!)高額な値段が付けられているものもあります。
が、ひとまず上級者の楽しみに取っといて、見える部分から固めていきましょう。
絵羽柄の他、小紋柄や無地などもあります。
素材もいろいろ
正絹、モスリン、ポリエステル、麻、綿などが代表的です。
正絹
肌触りが最高。柔らかくてすべすべしていて超気持ちいい。
さらには軽くて静電気も起きにくいと良いことずくめ。しかし高い。
また家で洗濯できないので汚れたらクリーニングに出さないといけなくて
ちょっと扱いがめんどくさい。
モスリン
毛織物の一種。普段着用として紹介されることが多い。
正絹よりは扱いやすいがやっぱり洗濯機では洗わない方がいい。
ちょっとチクチクするような感触があるので個人的にはあんまり好きじゃない。
ポリエステル
安く入手できる上に洗濯機で洗えるので扱いが超簡単。
さらさらした感触のものが多いけれど素材自体は硬いので、
人によっては違和感があるかも。
また汗でベタベタになりやすかったり静電気でバチバチになりやすかったりする。
麻
主に夏用。さらっとしていて快適だけど皺になりやすいのが欠点。
綿
家で洗える扱いやすい素材で肌なじみも良いが、厚ぼったくなりやすい。
どれも一長一短ありますね。一概にどれかひとつをオススメにするのは難しい。
ただ、どれか1つを選ぶならやっぱり正絹を推したいところ。
一回味わったらクセになります。ほんと超気持ちいい。
素材についてはこちらの生地でも紹介しています。
半襦袢は身軽に着られる(お好みで裾よけ+)
半襦袢も、そのまんまですが長さが半分の襦袢です。
長着に対しての半着とは違って、半襦袢は単体でも使えます。
下半身を覆う布が1枚減るのでちょっと身軽になる。夏は涼しくて良いかも。
もしくは「裾よけ」という腰巻きのようなものを巻いたり、ステテコを履いたりして
長襦袢を着ているのと同じ状態にすることもできます。
柄と素材
長襦袢と違い、半襦袢は基本的に無地(しかもほぼ白)です。
ただ、長着を着ていても少し見える部分だけは色や柄があるものもあります。
こういう襦袢を「うそつき襦袢」とも言います。

また、素材もほとんどが綿(夏用なら麻も)です。
長襦袢と違って、半襦袢はいかにも「下着」って感じですね。
半衿の色で着物の印象も変わる
長襦袢も半襦袢も、最初に写真で紹介したように「半衿」を付けて着ます。
縫い付けられた状態で売られていますが、自分で付け替えることもできます。
礼装用では半衿の色が白と決まっていますが、様々な色柄が売られていますので、
着物のお洒落を楽しむなら、コーディネートのポイントとしても重要です。
同じ着物で半衿の色を変えてみました。
あまり派手なものがなかったので参考になるかどうかは分かりません。笑
最初にどれを買う?
と、色々な襦袢を紹介してきましたが「初めての1枚」にはどれがいいのか。
選択肢は2つあると思うんです。
ごく一般的な半襦袢を入手
上で紹介したとおり、長襦袢と比べると半襦袢は扱いも簡単ですし、
また下半身を覆わないので足にまとわりつかず、少し身軽になれます。
寒い季節用に裾よけかステテコを用意しておけば完璧ですね。
あえてカッコイイ長襦袢を入手
いかにも「下着」な半襦袢よりも
カッコイイ絵羽長襦袢の方がテンション上がる、ということもあるかもしれません。
それならもう長襦袢にするしかないよね。素材も頑張って正絹にしましょう。
高価とはいってもうまくやると中古で安く入手することが出来ますので、
着潰す覚悟で普段使いに、ということも不可能ではありません(贅沢)。
着古した長襦袢は寝間着や部屋着などにするといつでも快適に過ごせます。
かしまさが実践しているのは後者ですが、
「どっちがいい?」と迷うなら、前者から始めるのが堅実かなぁ。
まとめ
- 襦袢は「下着専用の着物」で半衿だけちょっと見える
- 正絹の長襦袢は超気持ちいい
- とりあえず半襦袢を買っておけば間違いない
- 裾よけもあれば完璧
以上、
今回は「襦袢」について説明いたしました。
では皆様、良い着物生活を!
かしまさでした。
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